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遺言書の種類と書き方。自筆証書と公正証書、どちらにするか。
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「遺言書、書いておきたいけど、何から始めれば?」
「財産は妻に全部残したい」「長男に家を継がせたい」「介護してくれた娘に多く残したい」——そんな想いを持つ方は多くいます。
しかし実際に遺言書を書いている人は少数派です。「なんとなく手続きが面倒そう」「書き方がわからない」という方がほとんどです。
遺言書は、書き方を知れば意外とシンプルです。この記事では、遺言書の種類・書き方・どちらを選ぶべきかを解説します。
遺言書が必要な理由。
遺言書がないと、相続人全員の合意(遺産分割協議)が必要になります。
「話し合いで決まる」と思いがちですが、相続人が多い場合・感情的なもつれがある場合は、時間とエネルギーがかかります。
遺言書があれば、本人の意思を法的に示すことができ、相続人間のトラブルを防ぐことができます。
遺言書を書くべきタイミング
- 子どもが複数いる(財産の分け方に差をつけたい場合)
- 内縁の配偶者・事実婚のパートナーに財産を残したい
- 再婚している(前の配偶者との子どもとの相続問題)
- 相続人がいない(甥・姪に残したい/法人・団体に寄付したい)
- 「長男に家を、次男には現金を」と分け方を明確にしたい
遺言書の種類。
日本の遺言書には、主に3つの種類があります。
| 種類 | 特徴 | 費用 |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 自分で全文を手書きする | ほぼ無料 |
| 公正証書遺言 | 公証人が作成・保管する | 数万円〜 |
| 秘密証書遺言 | 内容を秘密にしながら存在を証明する | ほぼ使われない |
実務上よく使われるのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2種類です。
自筆証書遺言。
特徴
- 全文・日付・氏名を手書きする(財産目録のみパソコン可・ただし押印が必要)
- 費用はほぼかからない
- 自宅・銀行の貸金庫などで保管する
- 死後、家庭裁判所の「検認(けんにん)」が必要(2025年現在)
有効要件
自筆証書遺言が法的に有効になるには、以下がすべて必要です。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 全文の自書 | 代筆・パソコン印刷は無効(財産目録を除く) |
| 日付の記載 | 「令和○年○月○日」(「○月吉日」は無効) |
| 氏名の自書 | 本名または通称 |
| 押印 | 認印でも可。ただし実印が望ましい |
よくある無効パターン
- 日付がない・「○月○日頃」という曖昧な表現
- 鉛筆で書いた(消せる筆記具は不可)
- 修正に正しい方法を使っていない(二重線+署名+押印が必要)
法務局への保管制度(2020年〜)
2020年から、法務局(法務局遺言書保管制度)に自筆証書遺言を預けることができるようになりました。
メリット
- 紛失・改ざんのリスクがなくなる
- 死後、家庭裁判所の検認が不要になる
- 相続人が死亡後に照会できる
費用:3,900円(保管申請時)
公正証書遺言。
特徴
- 公証人(公証役場の専門職員)が本人の意思を確認して作成する
- 原本が公証役場に保管されるため、紛失・偽造のリスクがない
- 死後、家庭裁判所の検認が不要
- 費用は財産の総額によって異なる
作成の流れ
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | 遺言の内容を考え、下書きを作る |
| 2 | 公証役場に相談・予約(事前相談は無料) |
| 3 | 必要書類を収集する |
| 4 | 証人2名を用意する(当日同席が必要) |
| 5 | 公証役場で作成・署名・押印 |
| 6 | 正本・謄本を受け取る |
費用(財産額に応じた手数料)
| 財産の価額 | 手数料(目安) |
|---|---|
| 100万円以下 | 5,000円 |
| 300万円以下 | 7,000円 |
| 500万円以下 | 11,000円 |
| 1,000万円以下 | 17,000円 |
| 3,000万円以下 | 23,000円 |
| 5,000万円以下 | 29,000円 |
| 1億円以下 | 43,000円 |
財産が複数種類ある場合、それぞれの価額に応じた手数料の合計になります。
証人について
公正証書遺言には証人2名が必要です。証人になれない人に注意しましょう。
証人になれない人
- 未成年者
- 推定相続人(遺言で財産を受け取る可能性がある人)
- 受遺者とその配偶者・直系血族
- 公証人の関係者
友人・知人に頼む場合が多いですが、頼む人がいない場合は公証役場に相談すると、紹介してもらえることもあります(証人代行サービス)。
自筆証書遺言と公正証書遺言の比較。
| 比較項目 | 自筆証書遺言 | 公正証書遺言 |
|---|---|---|
| 作成の手軽さ | 手軽(自分だけで作れる) | 公証役場への来訪が必要 |
| 費用 | ほぼ無料(法務局保管は3,900円) | 数万円〜 |
| 安全性 | 紛失・偽造リスクあり | 公証役場保管で安全 |
| 検認 | 必要(法務局保管を除く) | 不要 |
| 無効リスク | 書き方を間違えると無効になる | 公証人が確認するため安心 |
| 向いているケース | シンプルな内容・急いで作りたい | 財産が多い・確実に残したい |
どちらを選ぶか
- 「とりあえず書いておきたい」「財産がシンプル」なら → 自筆証書遺言(法務局保管)
- 「確実に有効にしたい」「財産の種類が多い」なら → 公正証書遺言
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遺言書に書ける内容。
遺言書に書けることは、法律で定められています(法定遺言事項)。
書けること(主なもの)
- 財産を誰に何割渡すか(相続分の指定)
- 特定の財産を誰に渡すか(遺贈・特定遺贈)
- 相続人の廃除(一定条件を満たす場合)
- 認知(婚外子を認知する)
- 遺言執行者の指定(遺言内容を実行してくれる人を決める)
「付言事項(ふげんじこう)」
法的効力はないが、「なぜこのような遺言にしたか」という気持ちを書き添えることができます。家族への感謝の言葉や、不均等な配分の理由を書くことで、相続人間のトラブルを和らげる効果があります。
遺言書作成の注意点。
①遺留分を侵害しないようにする
遺留分(配偶者・子どもに保障された最低限の取り分)を著しく侵害する内容にすると、後で「遺留分侵害額請求」を受ける可能性があります。可能な範囲で遺留分を考慮した内容にしましょう。
②財産目録を最新に保つ
不動産・口座・保険などは変わる場合があります。遺言書の内容が実際の財産と一致しなくなることがあるため、数年に一度見直すことをおすすめします。
③「遺言執行者」を指定する
遺言の内容を実行してくれる「遺言執行者」を指定しておくと、スムーズに手続きが進みます。司法書士・弁護士を指定することが多いです。
まとめ:遺言書を書くための5ステップ。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| 1 | 誰に・何を・どのくらい残すかを考える |
| 2 | 自筆証書 or 公正証書どちらにするか決める |
| 3 | 自筆の場合:全文手書き・日付・氏名・押印 |
| 4 | 公正証書の場合:公証役場に相談→証人2名を用意→作成 |
| 5 | 定期的に内容を見直す(財産状況の変化に合わせて) |
「遺言書があれば残された家族が楽になる」——その言葉の意味は、実際に親の遺産を相続するときになって初めてわかります。
親が元気なうちに、一度専門家に相談しながら遺言書の作成を検討してみてください。
この記事を書いた人
編集部 / 城南終活取材班
城南5区 終活情報エディター
介護・福祉、葬儀・斎場、不動産、ファイナンシャルプランニングの実務経験をもつメンバーが執筆・監修。城南5区(大田・品川・目黒・世田谷・港)の現地を実際に訪ね歩き、足で確かめた一次情報をお届けします。
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