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遺産分割協議書とは。全員のハンコが必要な、相続の合意書。

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「誰が何を相続するか、文書にしなければならない。」

親が亡くなった後、「誰が何を引き継ぐか」を相続人全員で話し合い、その合意を書面にしたものが「遺産分割協議書(いさんぶんかつきょうぎしょ)」です。

多くの相続手続き(不動産の名義変更・銀行口座の解除・株式の移転など)では、この書面の提出が求められます。

「自分たちの家族は仲がいいから口約束でいい」と思う方もいますが、金融機関や法務局での手続きは口約束では動きません。書面として残すことが、後のトラブル防止にもなります。


遺産分割協議書が必要な場面。

この書類が求められる主な手続き

手続き備考
不動産の相続登記(名義変更)法務局への申請に必要
銀行口座の相続手続き(解除)各金融機関に提出
株式・投資信託の名義変更証券会社に提出
自動車の名義変更陸運局での手続きに必要
相続税の申告税務署への申告に添付

遺言書がある場合は、協議書は不要なことも。

亡くなった方が遺言書を残している場合は、原則として遺言書の内容に従って相続が行われます。その場合、すべての財産が遺言書通りに分割される場合は、遺産分割協議書の作成が不要なことがあります。

ただし、遺言書に記載のない財産が出てきた場合や、相続人全員の合意で遺言書と異なる分割をする場合は、別途協議書が必要になります。

遺言書が見つかっていない場合は、相続人全員で話し合って遺産分割協議書を作成するのが基本的な流れです。


遺産分割協議書に必要な内容。

遺産分割協議書に決まった書式はありませんが、以下の内容を盛り込む必要があります。

記載が必要な事項

  1. 亡くなった方の情報:氏名・生年月日・死亡日・本籍・最後の住所
  2. 相続人全員の情報:氏名・住所・生年月日
  3. 財産の一覧と、誰が相続するかの具体的な記載
  4. 作成年月日
  5. 相続人全員の署名・押印(実印)

財産の記載例(不動産)

土地:東京都大田区〇〇町〇丁目〇番〇号 地積〇〇㎡ 建物:東京都大田区〇〇町〇丁目〇番〇号 家屋番号〇番〇 床面積〇〇㎡ →相続人 山田一郎(昭和〇〇年〇月〇日生)が取得する

財産の記載例(預貯金)

〇〇銀行〇〇支店 普通預金 口座番号〇〇〇〇〇〇〇〇 →相続人 山田花子(昭和〇〇年〇月〇日生)が取得する

銀行口座は残高ではなく「口座番号」で特定します。


作成に必要な書類。

遺産分割協議書を作成するためには、まず以下の書類を集める必要があります。

必要書類(一般的な場合)

書類用途
亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本法定相続人を特定するため
相続人全員の戸籍謄本相続人を確認するため
相続人全員の住民票住所の確認
相続人全員の印鑑証明書実印の確認
相続財産の一覧(不動産は登記事項証明書、預金は残高証明書など)財産を特定するため

戸籍謄本の収集は「亡くなった方が生まれた市区町村」から始め、転籍があれば転籍先にもさかのぼります。場合によっては複数の役所から書類を集める必要があり、数週間かかることもあります。

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署名・押印のルール。全員の実印が必要。

遺産分割協議書は、相続人全員が署名・実印(じついん)で押印しなければなりません。

実印とは

市区町村の役所に登録した、公式の印鑑のことです。印鑑証明書と組み合わせることで「本人の正式な同意」を証明します。

複数枚になる場合は「割印」を

協議書が複数枚になる場合は、ページをまたいで「割印(わりいん)」を押します。これにより、ページが差し替えられていないことを証明できます。

相続人が遠方にいる場合

全員が一堂に集まれない場合は、1通の協議書を作成して持ち回りで署名・押印してもらう「持ち回り方式」が一般的です。郵送で対応することもできます。


「法定相続分」と違う分割も可能。

遺産分割協議は、相続人全員の合意があれば、法律上の相続割合(法定相続分)と異なる分割も可能です。

  • 法定相続分では「配偶者1/2・子ども1/2」でも、「配偶者がすべて相続する」という合意が全員でできれば、それが有効です
  • 「子どもAが自宅を相続する代わりに、子どもBには現金を多く分ける」という調整も可能です

ただし、相続人が一人でも同意しない場合は、協議が成立せず協議書が作れません。話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所での「遺産分割調停(いさんぶんかつちょうてい)」という手続きに進むことになります。


自分で作れるのか、専門家に頼むべきか。

自分で作成する場合

特定の書式はないため、上記の記載事項を満たした文書を作成すれば自分でも作れます。国税庁や法務省のウェブサイトにサンプル書式が掲載されています。

ただし、記載漏れ・押印漏れがあると銀行や法務局で受け付けてもらえず、やり直しになることもあります。

専門家に依頼する場合

  • 司法書士:不動産の相続登記と合わせて依頼するのが一般的(5〜15万円程度)
  • 行政書士:遺産分割協議書の作成のみ依頼可能(3〜8万円程度)
  • 弁護士:相続人間で争いがある場合、調停・交渉を含めて依頼

「財産の種類が多い」「相続人が多い」「遠方の相続人がいる」「不動産の登記を同時に進めたい」という場合は専門家への依頼が現実的です。


協議書作成後の流れ。

遺産分割協議書が完成したら、各手続きに応じて提出します。

不動産:法務局に相続登記申請(協議書の原本提出)

銀行口座:各金融機関の窓口に提出(コピーで可の場合もある)

株式・投資信託:各証券会社・信託銀行に提出

複数の金融機関への提出が必要な場合は、コピーを複数取り、必要に応じて「原本と相違ない」旨を記した上で提出します(金融機関に確認してください)。

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まとめ:「全員の合意」を書面に残すことが大切。

確認事項内容
作成が必要な場面不動産・銀行・株式などの相続手続き
必要な押印相続人全員の実印(印鑑証明書が必要)
収集が必要な書類戸籍謄本・住民票・印鑑証明書・財産証明
作成者自分でも可。複雑な場合は司法書士・行政書士へ
期限明確な期限はないが、相続税申告は10ヶ月以内

遺産分割協議書は、相続手続きの「要(かなめ)」となる書類です。焦らず、記載漏れがないように確認しながら作成してください。わからないことがあれば、専門家へ相談することをおすすめします。

この記事を書いた人

編集部 / 城南終活取材班

城南5区 終活情報エディター

介護・福祉、葬儀・斎場、不動産、ファイナンシャルプランニングの実務経験をもつメンバーが執筆・監修。城南5区(大田・品川・目黒・世田谷・港)の現地を実際に訪ね歩き、足で確かめた一次情報をお届けします。

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