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転倒を防ぐ。親の自宅環境と、日常の習慣の見直し。

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転倒は「介護のきっかけ」になることが多い。

「元気だった親が、転んで骨折してから急に弱ってしまった」——そんな話は、決して珍しくありません。

高齢者の転倒による骨折(特に大腿骨頸部骨折=股関節の骨折)は、入院・手術・リハビリを経ても、以前と同じように歩けなくなることがあります。そのまま要介護状態になるケースも少なくありません。

転倒は「たまたまの事故」ではなく、予防できるリスクです。環境の見直しと日常の習慣が、大切な親を守ります。


高齢者が転倒しやすい場所。

転倒が多い場所には共通のパターンがあります。

場所転倒しやすい理由
浴室・脱衣所濡れた床、段差、立ち上がり動作
トイレ夜間の暗い環境、便器からの立ち上がり
階段足元が見えにくい、手すりがない
玄関靴の脱ぎ履き時のバランス崩れ、段差
廊下・居間電気コード・敷物・ペットによる足の引っかかり
屋外(外出時)段差・雨天・夜間の視界不良

特に危険な「夜間のトイレ」

夜中に眠い状態でトイレに立つとき、足元が暗くてよろけた——これが転倒のかなりの割合を占めます。「夜間のトイレへの動線」を安全にすることが最優先事項のひとつです。


環境の見直し:今すぐできること。

①浴室・脱衣所の安全対策

  • 浴室内に手すりを設置する(入浴中の立ち座り、浴槽への出入り)
  • 浴槽に入り口台(浴槽台)を置く:浴槽の縁の高さを調整して出入りを楽に
  • 浴室の床に滑り止めマットを敷く
  • 脱衣所と浴室の段差を解消する
  • シャワーチェア(入浴用いす)を使う

②トイレの安全対策

  • 便器の横に手すりを設置する(立ち座りをサポート)
  • 夜間は足元を照らす(センサーライトを廊下・トイレに設置)
  • ポータブルトイレを検討する(夜間の移動距離を短くする)

③階段の安全対策

  • 両側に手すりを設置する(片側だけだと上り下りの方向によって使えない)
  • 階段の端に滑り止めテープを貼る
  • 階段の照明を明るくする(足元を照らす階段灯)
  • 荷物を持って階段を使わないよう声かけする

④玄関の安全対策

  • 玄関に手すり・いすを設置する(靴の脱ぎ履き時に使える)
  • 玄関の段差に補助台を設置する(段差を小さくステップを踏みやすく)
  • 滑りにくい履き物(室内履き)を選ぶ

⑤廊下・居間の整理

  • 電気コードを壁沿いにまとめて床に這わせない
  • 小さな敷物・マットはできるだけ撤去する(特に玄関マット)
  • 家具の配置を見直し、移動経路を広く確保する

手すりの設置は「介護保険」で補助が受けられる。

転倒予防のための住宅改修は、**介護保険の「住宅改修費」**として補助を受けられる場合があります。

条件:要介護1以上または要支援1〜2の認定を受けている方が対象

補助の内容:住宅改修費用の最大20万円までの9割(1割負担)が支給される

対象となる改修の例

改修内容備考
手すりの設置浴室・トイレ・廊下・階段
段差の解消敷居のカット・スロープの設置
床材の変更滑りにくい材質への張り替え
扉の変更開き戸を引き戸・折り戸に変更
洋式便器への交換和式から洋式へ

申請は市区町村の窓口またはケアマネジャーを通じて行います。工事前に申請が必要なため、先に動くことが大切です。

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介護保険適用の可否も含めて確認できます


転倒予防に効く「体の習慣」。

環境を整えるだけでなく、体の側の準備も大切です。

①筋力・バランス訓練

転倒の主な原因のひとつは、「バランス感覚の低下」と「脚の筋力低下」です。

自宅でできる簡単な運動例

  • 片足立ち:支えなしで10〜20秒間片足で立つ(転倒しないよう壁や椅子の近くで)
  • かかと上げ:立った状態でかかとを上げてつま先立ちになる→下ろす動作を繰り返す
  • スクワット:ゆっくり膝を曲げて腰を落とし、戻す(膝が痛い方は浅めでOK)
  • 椅子から立ち上がる練習:腕を使わずにゆっくり立ち上がる

デイサービスやリハビリでも、こうした転倒予防体操が行われています。

②足元・靴の見直し

  • 家の中では「かかとのある室内履き」を使う(素足・靴下だけは滑りやすい)
  • 靴底が薄いスリッパは転倒リスクが高い。介護用の滑り止め付き室内シューズを選ぶ
  • 外出時は、かかとが固定された歩きやすい靴を使う

③薬の影響に気をつける

睡眠薬・抗不安薬・降圧薬・利尿剤などは、ふらつき・立ちくらみを引き起こすことがあります。

「最近転びやすくなった」という場合は、かかりつけ医に「転倒のリスクになる薬はありますか」と相談してみることをおすすめします。


転倒後の対応も大切。

万が一転んだとき、「大したことない」と思って放置することが危険です。

特に注意すべき症状

  • 強い痛みがある(立てない・体重がかけられない)
  • 骨折が疑われる(変形・腫れ・強い痛み)
  • 頭をぶつけた(頭痛・吐き気・意識がぼーっとする)

これらの症状があれば、すぐに救急・かかりつけ医に連絡してください。「少し痛いけど大丈夫」という状況でも、数日後に「実は骨折していた」というケースがあります。


「転ばないこと」が、在宅生活を続けるカギ。

転倒予防は「転んでからやること」ではなく「転ぶ前に整えること」です。

今の親の自宅を一度歩いてみてください。危険な段差や、ぐらつく家具や、暗い通路はないでしょうか。

環境の改善は一度やれば長期間効果が続きます。「そのうち」ではなく「今回の帰省のタイミングで」やってしまいましょう。

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まとめ:転倒リスクを、場所ごとに見直す。

場所今すぐできる対策
浴室・脱衣所手すり・滑り止めマット・入浴台
トイレ手すり・センサーライト
階段両側手すり・照明・滑り止め
玄関手すり・いす・補助台
廊下・居間コード整理・敷物撤去・動線確保
筋力体操・室内履き・薬の確認

「転倒を防ぐ」ことは、在宅介護を長く続けるための基盤です。小さな対策の積み重ねが、親の自立と生活の質を守ります。

この記事を書いた人

編集部 / 城南終活取材班

城南5区 終活情報エディター

介護・福祉、葬儀・斎場、不動産、ファイナンシャルプランニングの実務経験をもつメンバーが執筆・監修。城南5区(大田・品川・目黒・世田谷・港)の現地を実際に訪ね歩き、足で確かめた一次情報をお届けします。

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