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元気なうちに、人生の最期を話し合う。ACP(人生会議)とは。

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親子で穏やかに話し合うイメージ
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「もし倒れたとき、どうしてほしいか」——聞けていますか。

ある日突然、親が救急搬送された。病院から「延命処置をどうするか、ご家族の意向を」と問われた。

——そのとき、あなたは答えられますか。

「親の意思を確認しておけばよかった」という後悔は、終末期の医療現場でよく聞かれます。しかし「元気なうちに死について話す」のは、多くの家族にとって気が引ける話題です。

「人生会議(ACP)」は、そのための考え方です。重い話ではなく、「どう生きたいか」を話し合うこと。今日はその入口を、一緒に考えてみましょう。


ACP(人生会議)とは。

ACP(Advance Care Planning:アドバンス・ケア・プランニング)は、もしものときに備えて、本人・家族・医療・介護の専門家が「どのような医療・ケアを受けたいか」を事前に話し合うプロセスです。

厚生労働省が2018年から「人生会議」という愛称で普及を進めています。

ACPの目的

  • 本人が望む医療・ケアを受けられるようにする
  • 家族が「これでよかったのか」という後悔を抱えないようにする
  • 本人が意思表示できなくなったときに備える

ACPは「1回話し合えば終わり」ではなく、本人の健康状態・価値観の変化に合わせて、繰り返し話し合うものです。


なぜ今、話しておく必要があるか。

認知症・脳卒中・事故など、判断能力が突然失われることは誰にでも起こりえます。

意思表示できない状態で迫られる判断

  • 人工呼吸器をつけるか
  • 胃ろう(胃に直接栄養を入れるチューブ)を作るか
  • 心臓マッサージ・AED蘇生処置を行うか
  • 自宅で最期を迎えるか、病院か

これらは、家族が短時間で決断を迫られることが多い判断です。

事前に本人の意思を知っておくことで、家族は「本人が望んでいたことを選べた」という安心を得られます。


ACPで話し合いたい5つのこと。

難しく考えなくて大丈夫です。まずは以下の5つのテーマを、ゆっくり話してみてください。

①自分にとって大切なこと

「何があれば幸せだと感じるか」——家族との時間、趣味、食事の楽しみ、ペットとの生活、旅行など。

どんな状態でも「これがなければ生きていけない」と感じることを知っておくと、終末期の判断の指針になります。

②どこで、誰と、どう過ごしたいか

  • 最期はどこで迎えたいか(自宅・病院・施設)
  • 誰に傍にいてほしいか
  • 延命処置よりも、穏やかに過ごすことを優先したいか

「自宅で死にたい」という希望を持つ方は多いですが、在宅医・訪問看護などの準備なしには実現が難しいため、早めに意思を確認しておくことが大切です。

③受けたい医療・受けたくない医療

  • 心臓が止まったとき、蘇生処置を望むか(DNAR)
  • 人工呼吸器・人工栄養(胃ろう・点滴)を望むか
  • 意識がなくなっても積極的な治療を続けてほしいか
  • 痛みを取ることを優先し、意識がなくなってもかまわないか

これらは「正解」はありません。本人の価値観によって異なります。

④信頼できる意思決定者は誰か

本人が意思表示できなくなったとき、代わりに判断してくれる人(代理意思決定者)を決めておきます。

配偶者・子ども・きょうだいなど、誰を「代わりに決める人」として信頼するかを確認しておきましょう。複数の子どもがいる場合は「誰が主に決めるか」を話し合っておくと、いざというときの混乱が減ります。

⑤臓器提供・献体について

臓器提供の意思は、免許証・マイナンバーカードへの記載や「臓器提供意思登録システム」への登録で確認できます。意思のない場合も、「しない」という意思を明確にしておくと家族が迷いません。


話し合いを切り出すコツ。

「お父さん、もし倒れたらどうしたい?」とストレートに切り出すのは難しいものです。

切り出しやすいきっかけ

  • 親の友人・知人の訃報があったとき:「○○さんが亡くなったって聞いて、考えることがあって」
  • 自分自身のこととして話す:「私ももしものとき、こうしてほしいと思っていて。お父さんはどう?」
  • テレビ・本のネタとして:「こういう話を見たんだけど、うちはどうしようかな」
  • 健康診断・受診のついでに:「先生に聞いたんだけど、こんなことを準備しておくといいって」

「死について話すこと」ではなく「これからどう生きるかを話すこと」として切り出すと、相手も受け入れやすくなります。


エンディングノートとの違い。

エンディングノートは「書き記すもの」、ACPは「話し合うプロセス」です。

項目ACP(人生会議)エンディングノート
形式繰り返す対話書き記す記録
変更都度話し直す随時書き直す
目的意思確認・共有情報の記録・伝達
法的効力なし(医療・介護の参考)なし

両方を組み合わせると効果的です。ACPで話し合った内容をエンディングノートに書き残しておくと、緊急時に医療スタッフにも見せられます。


「事前指示書(リビング・ウィル)」とは。

ACPの話し合いを経て、本人が「どのような医療を望むか・望まないか」を文書にしたものが「事前指示書(リビング・ウィル)」です。

法的拘束力はありませんが、医師や医療チームが判断の参考にします。

事前指示書に書く主な内容

  • 末期状態・植物状態になった場合の延命処置の希望
  • 心肺蘇生(CPR)の希望
  • 人工呼吸器・人工栄養の希望
  • 緩和ケア(痛みを取ることを優先)の希望

書き方のテンプレートは、日本尊厳死協会・各自治体のウェブサイトや、かかりつけ医に相談すると入手できます。

終末期ケアの意思確認を医療相談員に相談する

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認知症になる前に。

認知症が進むと、本人が自分の意思を言葉で伝えることが難しくなります。

「軽度認知症(MCI)」の段階であれば、まだ意思確認ができることが多いです。このタイミングでACPを進めることが理想的です。

また、任意後見制度(本人が元気なうちに、将来の判断能力低下に備えて代理人を決める制度)と組み合わせることで、財産管理と医療・介護の意思決定を両方カバーできます。


城南5区での相談先。

相談先内容
かかりつけ医終末期の医療方針・ACPの相談
地域包括支援センター介護・福祉の意思確認支援
在宅ホスピス・緩和ケアの専門医自宅での看取りを検討している場合
社会福祉士・相談支援専門員ACPの話し合いのサポート

まとめ:ACP(人生会議)を始めるための5ステップ。

ステップ内容
1「死について話す」ではなく「どう生きたいか」の話として切り出す
2大切にしていること・望む暮らしを聞く
3最期の場所・医療の希望を確認する
4代わりに決める人(代理意思決定者)を決める
5話し合った内容をエンディングノートに書き残す

人生会議に「正しい答え」はありません。大切なのは、話し合うこと自体です。

親が元気なうちに、「もしのときのこと」を話せる家族でいること——それが、最期まで本人らしく生きることを支える力になります。

この記事を書いた人

編集部 / 城南終活取材班

城南5区 終活情報エディター

介護・福祉、葬儀・斎場、不動産、ファイナンシャルプランニングの実務経験をもつメンバーが執筆・監修。城南5区(大田・品川・目黒・世田谷・港)の現地を実際に訪ね歩き、足で確かめた一次情報をお届けします。

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