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親を亡くした後の悲しみと、向き合い方。グリーフケアとは。

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葬儀が終わった。でも、何も手につかない。

葬儀が終わり、日常に戻ろうとしている。でも、仕事に集中できない。食欲もない。夜になると涙が止まらない。「こんなに弱くていいのか」と自分を責める——。

そういう経験をした方に、まず伝えたいことがあります。

それは、心が弱いのではありません。

愛する人を亡くしたときに感じる悲しみは、人間にとって自然な反応です。その悲しみは「グリーフ(Grief)」と呼ばれ、適切に向き合うことで少しずつ前に進めるようになります。


グリーフ(悲嘆)とは何か。

グリーフとは、「大切な人・ものを失ったときに生じる悲嘆(ひたん)の状態」のことです。

死別だけではなく、離婚・失業・病気など、さまざまな「喪失」にグリーフは起きます。その中でも「親の死」は、多くの人にとって初めて経験する深刻な喪失のひとつです。

グリーフは感情だけでなく、身体・行動・思考にも影響します。

グリーフの主な症状

側面現れ方の例
感情悲しみ・怒り・罪悪感・虚脱感・孤独感・安堵(安心感と同時に出ることもある)
身体疲労感・食欲不振・眠れない・胸の重さ・免疫力低下
思考集中力の低下・「あのとき〜していれば」という後悔・判断力の低下
行動社会的引きこもり・故人の遺品を触れられない・涙が出る

これらの反応はすべて「グリーフ反応」として正常です。「なぜ自分はこんなに弱いのか」と自分を責める必要はありません。


悲しみの5段階——「キューブラー=ロス」の理論。

心理学者エリザベス・キューブラー=ロスが提唱した「悲嘆の5段階(5 Stages of Grief)」は、グリーフを理解する上でよく使われます。

段階状態
①否認(ひにん)「まさか、信じられない」「夢を見ているのではないか」
②怒り(いかり)「なぜ自分が」「もっと早く医療を受けていれば」「周りへの怒り」
③取引(とりひき)「〜をするから元に戻って」「なぜもっと早く一緒にいなかったのか」という後悔
④抑うつ(よくうつ)深い悲しみ・虚脱感・「もう何もしたくない」
⑤受容(じゅよう)「いなくなったことを受け入れ、前に進もうとする」

重要なのは、この段階が「順番通りに進むわけではない」ことです。行きつ戻りつしながら、ゆっくりと変化していきます。「もう立ち直ったはずなのに、また悲しくなった」という状況は、よくあることです。


「複雑性悲嘆」に注意する。

多くのグリーフは時間とともに落ち着いていきます。一般的には「1〜2年かけて、少しずつ日常生活を取り戻していく」と言われています。

しかし、一部の方は「複雑性悲嘆(CG: Complicated Grief)」と呼ばれる状態になることがあります。

複雑性悲嘆のサイン

  • 死後1年以上経っても、日常生活に大きな支障が続いている
  • 食事・睡眠が極端に乱れたまま改善しない
  • 「死にたい」「消えたい」という気持ちが出てくる
  • 社会的な活動が一切できなくなっている
  • アルコール・薬物に過度に頼るようになっている

これらのサインがある場合は、一人で抱え込まず、精神科・心療内科・グリーフカウンセリングの専門家に相談することをおすすめします。


自分自身のグリーフケア——できること。

「グリーフケア」とは、悲嘆の状態にある人が自分自身をいたわり、回復を支えるための取り組みです。

①悲しみを「出す」ことを許す

「強くなければいけない」「いつまでも泣いていてはいけない」——そういう思い込みが、グリーフの回復を妨げることがあります。

泣くことは、感情の自然な排出です。人目がないところで思い切り泣くこと、故人の写真を見ながら気持ちを話しかけることは、悲しみを処理する助けになります。

②日常のルーティンを保つ

「気力がわかない」ときほど、食事・睡眠・軽い運動などの基本的なリズムを保つことが重要です。リズムが整うと、感情も少しずつ安定しやすくなります。

「食欲がなくても、決まった時間に何かを食べる」「外出したくなくても、散歩に出てみる」——小さな積み重ねが支えになります。

③「語れる場所」を持つ

悲しみを誰かに話すことには、大きな癒しの効果があります。家族・友人・信頼できる人に「まだ悲しい」と話してみてください。

「迷惑をかけたくない」と思う方も多いですが、周囲の人の多くは「話してくれてよかった」と感じます。

④故人との「つながり」を保つ

「亡くなったとしても、気持ちのつながりを持ち続けること」は、グリーフの回復に有効です。

  • お墓参り・仏壇への語りかけ
  • 日記に故人への気持ちを書く
  • 故人が好きだったことを続ける・楽しむ
  • 記念の日に家族で集まる

「忘れることが前に進むこと」ではありません。故人を心の中に生かし続けながら、自分の生活を再建していくことが「グリーフの回復」です。


家族・兄弟間での「グリーフのすれ違い」。

同じ親を亡くした兄弟・家族でも、グリーフの現れ方は人によって異なります。

  • 泣き続ける人・感情を表に出さない人
  • すぐに片付け・手続きを始める人・何も手につかない人
  • 早く日常に戻ろうとする人・時間をかけたい人

この「すれ違い」が家族間の摩擦を生むことがあります。「なんであの人は泣かないのか」「なぜあの人はもう立ち直ったのか」——そういった判断は、お互いを傷つけます。

「グリーフの現れ方は人それぞれ」という理解を、家族の中で共有することが大切です。


グリーフカウンセリング・専門的なサポート。

一人では抱えきれないと感じたとき、専門的なサポートを求めることは弱さではありません。

相談先内容
グリーフカウンセラー死別体験に特化したカウンセリング専門家
精神科・心療内科睡眠障害・抑うつ状態が続く場合の医療的サポート
グリーフサポートグループ同じ体験を持つ人と話せる場(全国に活動あり)
ホスピス・緩和ケア施設のグリーフケアプログラム在宅医療・緩和ケアを受けた患者の家族向け支援
地域包括支援センター・社会福祉士生活上の困難を抱えている場合の相談先
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「いつ元に戻れるか」という問い。

「いつになったら普通に戻れますか」という問いに、明確な答えはありません。

グリーフの回復に「正しいペース」はなく、1年で落ち着く人もいれば、3年かかる人もいます。大切な人を深く愛していたほど、悲しみも深くなります。それは当たり前のことです。

「完全に元通りになる」というより、「悲しみと共存しながら、自分の生活を取り戻す」というイメージが、現実に近いかもしれません。

故人のことを思うと悲しい気持ちになる。それでも、日常を歩んでいける。——そういう状態が、グリーフの回復が進んだ姿です。


まとめ:グリーフと向き合うための5つのこと。

すること内容
1悲しみを否定せず、感情を出すことを許す
2食事・睡眠の基本リズムを保つ
3誰かに話す・書くことで気持ちを外に出す
4故人を「忘れる」のではなく「心の中に生かす」
5一人で抱えきれないときは専門家に頼る

親を亡くした悲しみは、あなたが親を愛していた証拠です。

その悲しみを大切にしながら、少しずつ、自分のペースで歩んでいってください。誰かに「早く立ち直れ」と言われる筋合いは、誰にもありません。

この記事を書いた人

編集部 / 城南終活取材班

城南5区 終活情報エディター

介護・福祉、葬儀・斎場、不動産、ファイナンシャルプランニングの実務経験をもつメンバーが執筆・監修。城南5区(大田・品川・目黒・世田谷・港)の現地を実際に訪ね歩き、足で確かめた一次情報をお届けします。

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