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認知症の「困った行動」への対応。BPSDと、家族にできること。

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介護施設で過ごす高齢者のイメージ
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「認知症の症状」は、忘れるだけではない。

「認知症というのは物忘れのことでしょう」と思っている方は多いかもしれません。しかし実際には、記憶障害だけでなく「行動・心理症状(BPSD)」と呼ばれる症状が伴うことがあり、こちらの方が家族の介護負担を大きく増やします。

BPSDとは

Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia の略。日本語では「認知症に伴う行動・心理症状」と訳されます。

認知症の中核症状(記憶障害・判断力低下など)に加えて出てくる症状で、本人の性格・生活環境・ストレスなどによって現れ方が異なります。


主なBPSDの種類。

①徘徊(はいかい)

目的なく歩き回ったり、外に出て行方不明になるリスクがある症状です。

なぜ起きるのか

  • 「家に帰りたい」という気持ち(施設や入院先でも自分の家と認識できない)
  • 不安・焦燥感
  • 以前の習慣(「仕事に行かなければ」など)が残っている

対処のポイント

  • 「どこに行くの?」と止めると混乱・興奮しやすいため、「一緒に行きましょう」と寄り添いながらゆっくり話しかける
  • 玄関にセンサーを設置して出入りを把握する(見守りサービスと組み合わせる)
  • GPSデバイスを携帯させる
  • 本人が歩き回れる安全な環境を整える(外の散歩ルートを一緒に作る)

②暴言・暴力

突然怒り出したり、介護しようとした家族に手を上げることがあります。

なぜ起きるのか

  • 自分でできないことへの焦り・恥ずかしさから
  • 介護される行為(おむつ交換・入浴介助など)に対する強い抵抗感
  • 「何をされるかわからない」という恐怖・不安

対処のポイント

  • 正面から近づかず、目線を下げて横から穏やかに声をかける
  • 「してはいけない」と制止するより、別のことに注意を向ける(好きなものを見せる・話題を変えるなど)
  • 暴力が激しい場合は無理に近づかず、安全を確保してから時間をおく
  • 介護する側が「またやってしまった」と自分を責めないことが大切

③妄想(もうそう)

「財布を盗まれた」「誰かが家に入ってきた」などの誤った確信を持つ症状です。

最も多いのは「物盗られ妄想」で、「財布を盗んだ」と家族(特に介護者)を疑うケースが多いです。

対処のポイント

  • 「盗んでいない」と否定すると混乱・興奮しやすいため、「一緒に探しましょう」と寄り添う
  • 財布など大切なものを一緒に「安全な場所」に入れる習慣を作る
  • 訴えをいったん受け止める(「そうでしたか」と共感してから、別の話題へ)

④幻覚(げんかく)

「部屋に知らない人がいる」「虫が見える」など、実際にはないものが見える・聞こえる症状です。

レビー小体型認知症に多い症状として知られています。

対処のポイント

  • 「そんなものはいない」と否定せず、「どんな人ですか」と冷静に話を聞く
  • 本人が怖がっている場合は、「大丈夫ですよ」「もう行きましたよ」と安心させる
  • 強い幻視が続く場合は、主治医に相談(薬の調整が有効な場合がある)

⑤昼夜逆転・睡眠障害

夜に眠れず昼間眠ってしまい、生活リズムが崩れる症状です。

対処のポイント

  • 昼間に活動量を増やす(散歩・デイサービス通所など)
  • 朝の日光を浴びる習慣をつける(体内時計のリセットに効果的)
  • 昼寝を長くしすぎない(30分以内を目安に)
  • 夜間に安心できる環境を整える(常夜灯・寝具の工夫)

「叱る」は逆効果。感情は残る。

認知症の方は、記憶は失われていても感情は残りやすいという特徴があります。

「何でこんなことをするの!」と叱られると、何を叱られたかは忘れても「怖い・怒られた」という感情は残り、その後の介護が難しくなることがあります。

基本的なかかわり方の姿勢

  • 怒らない・否定しない
  • 一度に多くの情報を伝えない(シンプルな言葉で、ゆっくりと)
  • 「できること」を活かす(できないことを補う形で関わる)
  • 本人の気持ちを言語化する(「〇〇したいんですね」「それは辛かったですね」)
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家族が燃え尽きないために。

BPSDへの対応は、介護者にとって心身ともに大きな負担です。「24時間ついていなければ」という状態が続くと、介護者うつや介護放棄につながりかねません。

家族のための対策

①介護サービスを積極的に使う

デイサービス・ショートステイなどを使い、介護者が「休む時間」を確保することは必要不可欠です。「自分がいないといけない」という思い込みを手放してください。

②「正解」を求めない

BPSDへの対応に絶対的な正解はありません。「今日は徘徊を止められなかった」「また怒鳴ってしまった」と自分を責め続けると消耗します。「また明日やってみよう」という気持ちで続けることが大切です。

③認知症介護の仲間・専門家とつながる

  • 地域包括支援センターへの相談
  • 認知症の家族会(市区町村が主催するものが多い)
  • かかりつけ医・認知症専門医への相談

一人で抱え込まないことが、長く介護を続けるための鍵です。


専門家への相談のタイミング。

以下のような状況になったら、早めに医師・専門家に相談してください。

状況対応先
暴言・暴力が激しく介護が困難かかりつけ医・認知症専門医
徘徊が増え、目が離せない地域包括支援センター・ケアマネジャー
幻覚・妄想が強く本人が苦しんでいる認知症専門医・精神科
介護者が心身ともに限界地域包括支援センター・かかりつけ医

BPSDは、適切な薬物療法や非薬物療法(音楽療法・回想法など)で改善することもあります。「どうにもならない」と諦めず、専門家に相談してみてください。


城南5区での認知症介護の相談先。

相談先特徴
地域包括支援センター介護全般の相談窓口。無料
認知症疾患医療センター専門的な診断・治療。都内に複数あり
認知症カフェ本人・家族・地域の人が集まる交流の場
認知症の家族会同じ立場の家族との交流・情報交換

城南5区(大田・品川・目黒・世田谷・港)は、認知症サポート資源が充実しているエリアです。ケアマネジャーや地域包括支援センターに「認知症の行動症状に困っている」と相談すると、地域の専門家・サービスにつないでもらえます。

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まとめ:「困った行動」は、助けを求めているサイン。

BPSD主な対処法
徘徊一緒に歩く・GPS・センサー活用
暴言・暴力否定せず距離を置き、時間をおく
妄想共感してから別の話題へ
幻覚否定せず安心させる
昼夜逆転日光・活動・昼寝制限

認知症の「困った行動」は、本人が意図して行うものではありません。不安・恐怖・混乱が形を変えて出てきているものです。

その視点を持つだけで、介護する側の気持ちも少しだけ楽になります。

この記事を書いた人

編集部 / 城南終活取材班

城南5区 終活情報エディター

介護・福祉、葬儀・斎場、不動産、ファイナンシャルプランニングの実務経験をもつメンバーが執筆・監修。城南5区(大田・品川・目黒・世田谷・港)の現地を実際に訪ね歩き、足で確かめた一次情報をお届けします。

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