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床ずれ(褥瘡)の予防と、在宅でのケア。

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「背中に赤いところができてきた」

在宅で寝たきりの親を介護していると、「なんとなく皮膚が赤くなっている」「同じ場所が変色している」という変化に気づくことがあります。

それは褥瘡(じょくそう)、いわゆる「床ずれ」の始まりかもしれません。

褥瘡は、適切なケアで予防できます。また、初期段階であれば在宅でのケアで改善できます。しかし放置すると急速に悪化し、感染症・敗血症(はいけつしょう)などの重篤な合併症につながります。


褥瘡とは何か。

褥瘡(じょくそう)とは、体の一部が長時間圧迫されることで血流が途絶え、皮膚や組織が壊死(えし)してしまう状態のことです。

「床ずれ」という名称で広く知られていますが、ベッドだけでなく、車いすや椅子に長時間座り続けることでも発生します。

発生しやすい部位理由
仙骨部(おしりの中央)仰向けで寝たときに最も体重がかかる
かかと・足首骨が皮膚に近く、血流が少ない
肩甲骨・後頭部骨の突出部が圧迫される
耳・頬横向きで寝たときに接触する部分
膝の内側膝同士が当たる部分

なぜ高齢者は褥瘡になりやすいのか。

リスク因子内容
長時間同じ体位自力で体を動かせない・動かない方
栄養不足たんぱく質不足・体重が少ない方
皮膚の脆弱性高齢者は皮膚が薄く、乾燥しやすい
失禁・多汗皮膚が湿潤になり、摩擦に弱くなる
循環障害糖尿病・末梢動脈疾患などで血流が悪い方
意識障害・認知症痛みや不快感を訴えられない

要介護度が高くなるほど、また寝たきりの時間が長くなるほど褥瘡リスクは高まります。


褥瘡のステージ(重症度)。

褥瘡は、状態の深刻さによってステージ分類されます。

ステージ状態対応
ステージⅠ皮膚は破れていないが、赤み(発赤)が消えない在宅でのケアで改善可能。早急に圧迫除去・保湿を開始
ステージⅡ表皮から真皮に達する浅い潰瘍。水ぶくれ・びらん訪問看護師・かかりつけ医に相談。処置が必要
ステージⅢ皮下組織まで達する潰瘍。えぐれた状態医療的処置が必要。早急に受診
ステージⅣ筋肉・骨・腱まで達する深い潰瘍入院・外科的処置が必要になることも

「ステージⅠで気づいて対処できるかどうか」が、褥瘡悪化を防ぐ最大のポイントです。


在宅での予防の基本。

①体位変換(たいいへんかん)——定期的に体の向きを変える

最も重要な予防策です。

推奨頻度内容
基本2時間ごとに体の向きを変える
エアマット使用時体圧分散マットレス使用中は4時間ごとでも可(担当者に確認)

体位変換のポイント

  • 背中・おしり・かかとを持ち上げて圧迫部を空中に浮かせる
  • 横向きにする場合、直接90度は避け、30度の傾きで安定させる(クッションで支える)
  • 皮膚をこすらない。「引きずる」のではなく「持ち上げる」

夜間は体位変換が難しい場合、**体圧分散マットレス(エアマット)**の導入が有効です。介護保険でレンタル可能(要介護2以上が目安)。

②皮膚の観察・清潔・保湿

ケア内容
毎日の皮膚観察着替え・入浴・清拭の際に、全身の皮膚を目で確認する
清潔を保つ入浴・清拭で皮膚を清潔に保つ。特に失禁後は速やかに清拭
保湿入浴後にローション・クリームで保湿。乾燥した皮膚は摩擦に弱い
失禁対応おむつ内の湿潤環境を防ぐ。こまめな交換と皮膚バリア剤(撥水クリームなど)の使用

③栄養管理

栄養不足は褥瘡の大きなリスク因子です。

栄養素役割
たんぱく質皮膚・筋肉の修復に不可欠
亜鉛・ビタミンC皮膚の再生・免疫機能のサポート
水分脱水は皮膚の乾燥・脆弱化を招く

「食欲がない」「体重が減っている」という親には、栄養補助食品(ドリンク・ゼリータイプ)の活用も検討してください。

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訪問看護師に早めに相談する。

褥瘡の管理は、看護師の専門的なスキルが必要です。

訪問看護師にできること

対応内容
褥瘡のアセスメント現在のステージ・状態の評価
処置洗浄・ドレッシング材の交換(医師の指示の下)
体位変換の指導正しいポジショニングを家族に指導
栄養状態の確認必要に応じて栄養士との連携
医師との連携悪化している場合に主治医へ報告・受診調整

「なんとなく皮膚が赤い気がする」という段階でも、訪問看護師に相談することをおすすめします。早期発見・早期対処が、最大の予防です。


受診・入院が必要なサイン。

サイン対応
傷から膿(うみ)が出ている感染の可能性。すぐにかかりつけ医または訪問診療医に連絡
傷が深く、骨・腱が見えている救急受診または入院が必要
高熱・悪寒がある敗血症の可能性。救急受診
皮膚の黒変(壊死)外科的処置が必要になる場合がある

福祉用具の活用で予防を強化する。

褥瘡予防に役立つ福祉用具は、介護保険でレンタルできるものがあります。

用具内容介護保険
体圧分散マットレス(エアマット)圧力を分散し、特定部位への持続圧迫を防ぐレンタル可(要介護2以上が目安)
クッション(ウレタン・ゲルタイプ)車いすや椅子での坐位圧迫を分散レンタル可
ポジショニングクッション体位変換後の姿勢保持に使用レンタル可

ケアマネジャーに「体圧分散マットレスを使いたい」と相談すれば、レンタル手配をしてくれます。


「気づいたとき」が一番大事。

「なんか赤くなってる気がするけど、そのうち治るかな…」——その放置が、褥瘡を深くしてしまいます。

皮膚の変化に気づいたら、すぐに

  1. 圧迫を取り除く(その部位にかからないよう体位を変える)
  2. 訪問看護師またはケアマネジャーに報告する
  3. 次の受診時にかかりつけ医に確認する

「大げさかな」と思う必要はありません。褥瘡は早期発見・早期対処がすべてです。

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まとめ:褥瘡予防・ケアのポイント。

ポイント内容
体位変換2時間ごとに体の向きを変える
皮膚観察毎日、全身の皮膚を目で確認する
清潔・保湿清拭・入浴後の保湿。失禁後は速やかに対応
栄養たんぱく質・水分を十分に摂る
エアマット体圧分散マットレスを介護保険でレンタルする
早期相談「赤い」と気づいたらすぐに訪問看護師・ケアマネに報告

褥瘡は「できてから治す」より「できないようにする」ことが圧倒的に大切です。

家族として毎日の介護に取り組む中で、「皮膚の観察」を習慣のひとつに加えてみてください。

この記事を書いた人

編集部 / 城南終活取材班

城南5区 終活情報エディター

介護・福祉、葬儀・斎場、不動産、ファイナンシャルプランニングの実務経験をもつメンバーが執筆・監修。城南5区(大田・品川・目黒・世田谷・港)の現地を実際に訪ね歩き、足で確かめた一次情報をお届けします。

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